名前:黒猫

『運命の記述』46冊目

流石は闇の眷属

 私は一体何をしているのか。
先程あんなに貶した大昔の人間の誕生の日(仮)当日に。

 一人の人間を待っている。何故?
私は……騒ぎたいだけの莫迦と同類?


 いや、今日がそういう日だという事で会う約束をしたわけではない。
普段と変わらずただ会うだけで、断じて愚昧達とは違う。


そう、違う。


しかし、こんなに意識しているという事は……結局……。


堂々巡りになりかけた頭を振って我に返る。


 寒い。指先が凍るように冷たい。
あの人間は私を待たせる事が多い気がする。


どうせあの人間は今日の事なんて……。


いや……。

あの人間も今日がどういう日かを意識してやって来るのだろうか。



あの人間は意識しているだろうと思った。