名前:黒猫

『運命の記述』46冊目

流石は闇の眷属

……来ない。
やはりあの人間はあの人間だった。
今日がどういう日なのか、まったく意識をしていないようだ。


 少し……安堵した。
またこれからもこんな日々が続いていくのだろうか。
生きていく中で環境が変わっていくのは当たり前で、
環境が変われば気持ちも変わって……。



まだこの退屈で穏やかな日常が愉しめるというのなら、それで構わないと思った。



 この気持ちは誰にも話す事はないのだろう。
臆病だと嗤うのだろうか。賢明だと褒めてくれるのだろうか。
話した事もない、会った事もない、
今日世界各地で生まれた事を祝われている人物に、
返事がないのが分かっているのに心の中で問いかけた。



……さて。