寒い。体が寒い。心は、今は大丈夫。隣にひなたが居るから。

 会話が無いのがちょっと気まずい。手が冷たい。
「えっと、今日はありがとう。送ってくれて」

 俺は、これくらいどうってことないと答える。隣をカップルが通り過ぎていく。しかし、今は大丈夫。形だけとはいえ、カップルに見えるだろうから。

「……あの喫茶店来たのは偶然? 私言ってないよね」
 偶然だと答える。……確かに偶然だ。そう思うと、運命を感じずにはいられないのは、俺だけか。
 
 それで、一旦会話が止まる。
09クリスマスイベント10