「あ、そうだ。……はい、これ。クリスマスプレゼント」
 カバンから取り出されたのは、もこもこした黒い手袋。そういえば、以前そんな話をした気がする。
「あまり高いものじゃないけど。気に入ってくれると嬉しいな」
 受け取ろうとして、気がついた。俺は、そんな気が利いたものを用意していない。
「あ、別に私に対してのプレゼントはいいよ? お返しが欲しくてプレゼントするんじゃないし」
 それでも、気が済まない。受け取るのを渋っていると、ひなたがにこりと笑った。
09クリスマスイベント11