そして今に至る。いや、すっ飛ばしたか。腹いせにサンタ狩りでもと思ったけど、結局出来る訳でもなく、イルミネーション溢れる街道を一人寂しく歩いている訳だ。
寒いと小さく呟く。いつもは寒いねって言葉が返ってくるのに、今日は無い。
隣を腕を組んだカップルが通り過ぎる。心が寒くなる。手が痛い。本当に凍えそうだ。
当ても無く歩いていたら、人通りがまばらになっていた。この辺りには憎きカップルは居ない。好都合。
このまま帰ってしまうと、ただの寂しい人だ。そして、目の前に人がほとんど入っていない小さな喫茶店を見つける。自身に言い訳する。俺は暖かい美味しいコーヒーが飲みたかったんだと。
ドアに掛かったクリスマスを象徴する、トナカイの飾りを見て、入り口で若干躊躇する。チラリと中を覗き、カップルが居ない事を確認。
よし、入ろう。