チリンと鈴の音と暖房が行き届いた空間が心地いい。心まで解凍してはくれないけど。
「あ、いらっしゃーい。いっぱい空いてるから適当にどーぞ」
あぁ、女性の声が俺にかけられた。こんな事に喜ぶなんてどうかしてる。とりあえず入ってまっすぐ進み、カウンターの席に腰を下ろす。
「ご注文は?」
コーヒーと適当な軽食一つを頼む。
「はいはーい。サンドイッチ一つおねがーい」
店の奥側へと、そう軽く叫んだ。
「はーい。分かりました」
……幻聴? ひなたの声が聞こえた気がした。
ちらりと、声の主を探すと――
間違いなかった。