何とか詰め込み終えた頃、ひなたが奥から出てきた。私服姿のひなたもレアものだ。
「じゃ、じゃあ、白水さん。お先に失礼します」
「いやー、ごめんね。急にこんな事頼んじゃって。クリスマスだから、こんな小さな店でも人手ほしくてさ」
「いえ。用事は特になかったから」
「ほんとにー?」
白水さんが俺に目配せする。……なんと答えればいいものやら。
「あ、彼が今夜は家まで送ってくれるみたいだから」
「え」
俺も同じ声をだす。おかげでひなたとまた目があう。
「君も、それで今日の代金タダにしてあげるから、お願いできないかな?」
……断る理由がない。
「じゃ、よろしくね。あと、またうちに来てね。サービスするから」
ひらひらと手を振って送り出してくれた。しかし、ひなたは黙ったままだ。
やっぱり嫌だったのだろうか。