「どうにもおかしいぜ。さっきから二人して、明後日の方向を攻撃したり、あんな大振りの攻撃動作への反応が遅れたり、終いにゃ危うく同士討ちだ……まさか」
『マエストロ!私との相互通信を切断してください!ベノムとの情報共有もオフに!既に手遅れかもしれませんが…!』
■刑事の端末から、切羽詰まった様子のプルキーの声がする。
『痛恨の極みです…おそらく私は電子攻撃を受けています…ッ!そこから情報汚染が広がっている!!』
「…俺も今更気づいた所だ。マズいぜ、あの黒いお嬢さん、電子戦用の戦闘人形だ」
■刑事の顔に冷や汗が流れた。
『推測ですが…敵味方の位置情報をリアルタイムで書き換えられています!
現に私の認識上は今も、ベノムとブラックウィドウが入れ替わったままです…!
…ていうかベノムなんですよね?!私の隣にいるの!』
「あら、勘付かれちゃいましたか、残念。」
■ゆらゆらと両手を動かしながら、ブラックウィドウが妖しく笑う。
「貴方たちが味方を仕留めたときの間抜け面を見るのを楽しみにしてたのに…ふふ。」
■電子戦用戦闘人形…
■ブラックウィドウはおそらく、情報共有や命令伝達のネットワークから他の人形の電子頭脳に侵入し、各種センサーからの情報を改竄している。
■プルキーの見る世界がどうなっているかは想像もつかないが、とにかく彼女の混乱ぶりから正確な攻撃の困難さが伺える。
『そうと分かれば手はあります。マスター、敵方向の指示を。
私から見てどちらの方向に、どの程度離れているか随時教えて下さい。奴も人間の脳には入り込めない!』
■手元の端末から聞こえるベノムの声。反撃の糸口は掴んだ、そう確信するような。
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名前:“半分屑鉄の”ベノム
智識再構成率39%
話した言葉:記憶未亡人の参戦九
高評価
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