「…どうなってるんだ、ありゃ」
■刑事が困惑した声を上げる。
■戦闘が始まってからすでに数分。
■ブラックウィドウは決して俊敏な動きを見せるわけでも、強力な武器を展開してみせるわけでもなかった。

「そこッ!」
ちょっと!どこ狙ってるのよ!!
■だが、当たらない。こちらの攻撃が、一度も。
「きゃんっ!」
■そうこう言っているうちに、プルキーがつんのめって転んだ。

「厄介ですね、これ…」
■既に彼女の身体には多数の傷が刻まれている。
■フレーム自体はダメージを受けていないようだが、切り裂かれた人造皮膚が痛々しい。

気をつけなさいって言ったでしょう。
■ベノムはほとんど無傷に近いが、クローアームには擦過痕がいくつもついていた。
■…ワイヤートラップ。
■おそらくブラックウィドウが一帯に張り巡らせていたのだろう、不可視の攻撃手段にして防御手段。

コソコソ逃げ隠れするような人形にはお似合いの手だわ。
「好きに言ってください。私は殴り合いなんて泥臭い手は御免被るんです。」
■ゴミの山の上をゆらゆらと歩く黒い戦闘人形に、こちらの攻撃はさっきからずっと届いていない。
■途中でワイヤーに阻まれ、絡め取られ、果てにプルキーは明後日の方向を切りつけている始末だった。
■ベノムは気付いていたのだろう。彼女のトラップに。
■ともすれば、もっと以前から…

「さあ、踊りなさい。私が死ぬまで操って差し上げますよ。」

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名前:“半分屑鉄の”ベノム
智識再構成率39%
話した言葉:記憶未亡人の参戦陸

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