■濃緑色の人形が長巻を、ベノムがパラソルを振るうたびに、バイオスイカは次々とネギトロめいて四散してゆく。
■撃破したスイカも七割を超え、そろそろ終りが見えてきた時。

『アンショー、アンショー、あんしょあんしょアンショー、あんしょーけーいびっほっしょー♪』
■すっとぼけた音色のスピーカー音が砂浜に鳴り響いた。

『迅速!誠実!!実際安全安心な~♪』
■力強いテノールによる珍妙な歌詞とともに、赤く塗られた装甲車両と四輪駆動車の群れが、堤防の車両進入口から砂浜へと押し寄せて来る。
■指揮車両と思しき四輪駆動車に据えられたスピーカーが軽いハウリングを起こしつつも、どうやらテーマソングらしき歌を奏でる。
『あーなたーのみかたっみーんなーのきぼうっ安照ー警備保障ー♪』
■その側面にはゴシック体の白文字で大きく「安照警備保障」のロゴが書かれていた。

「…うわ」
■一瞬、愛路が苦い顔をしたように見えた。
「……チッ」
■濃緑色の人形が、露骨に嫌そうな顔をして舌打ちしている。

『我々が来たからにはもう安心です!我々安照警備保障が皆様の安全をお守りします!』
■音割れ気味のスピーカーから甲高い男性の声が響き、その背後でどかどかと車両から降りた兵士たち…「安照警備保障」の社員…が機関銃を設置していく。

「潮時だね。後は連中に任せよう」
■不本意を隠さない表情で、長巻をかついだ人形がベノムに声をかける。

『我々の到着の遅れにより、憲兵隊の皆様のお手を煩わせました!申し訳ありません!!』
■甲高い声の男がスピーカーをこちらに向けて叫んでいる。
■濃緑色の人形が手を振って応えつつ、愛路とジャグワールにも移動を促した。

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名前:“半分屑鉄の”ベノム
智識再構成率39%
話した言葉:記憶砂浜仇

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