■レモンスカッシュの上に乗ったソフトクリームを少しずつ口に運んでは顔を綻ばせる彼女は、ともすれば本当に小さな少女に見える。
■しかし、彼女の制服の胸には確かに国家憲兵隊のバッジが光っている…。

「…失礼」
■こちらの視線に気づいたのだろうか、少し恥ずかしそうにしながら、急に明亜が姿勢を正した。
■ひとつ咳払いをすると、
「私は話術や駆け引きは得意ではないので……単刀直入に言いましょう。
貴方はこれ以上、あの人形…ブラックウィドウに関わるべきではありません。
そして、"凶剣"フッケバインにも。」
■その口調は鋭く、先程の印象とは一変している。
■眼光もまた、真っ直ぐにこちらを見据えている。まるで胸の内さえ見透かすと言わんばかりに。

「…知っての通り、あの人形とその操者は"別の日章共和国"…正統王朝と呼ばれる政府の工作員です。
我々国家憲兵隊も、連中の動きを追っていました。」
■一息置くように、ストローを咥えてレモンスカッシュを吸い込む。
「…すぐに連中のアジトに突入したり貴方をしょっぴいたりしないのは…まあ、色々あるのです。
令状主義とか、証拠とか、地方と中央という権力構造、治安機関の縦割りと対立、エトセトラ、エトセトラ」

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名前:“半分屑鉄の”ベノム
智識再構成率39%
話した言葉:記憶_明亜の来訪四

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