くっ!! ■上下の入れ替わった二人。今度はフッケバインが、ベノムを引きずるように高度を上げていく。 ■クローに力を込め、振り払われまいとしがみついた。フッケバインの左手首がさらに軋み、歪む。 「voca, voca me cum benedictis be-ne-di-ctis」 ■音程を外したか細い歌声。 「voca me, voca me」 ■先程までの激情も、握りつぶされてゆく腕への苦悶も感じさせない、 「voca me cum benedictis」 ■ただ静かに泣いているような声だった。