■ノコギリ付きの左腕をクローで握り込み、パイプレンチを首に押し付けるようにして降下する。
■フッケバインが押し返そうとしても、重力が加算された"イカルスの翼"の推進力に抗し得ない。
■残る右腕を握り、ベノムの顔面を殴りつけるが、勢いの乗らないパンチはベノムをひるませもしなかった。
■そのまま地面へと叩きつけようとした瞬間、
【BOM!!】
■大きな煙の塊を吐き、"イカルスの翼"がダウンした。
■フッケバインが残された右脚で地面を蹴り、猛然と"ダ・ヴィンチの翼"を羽ばたかせる。

くっ!!
■上下の入れ替わった二人。今度はフッケバインが、ベノムを引きずるように高度を上げていく。
■クローに力を込め、振り払われまいとしがみついた。フッケバインの左手首がさらに軋み、歪む。
「voca, voca me cum benedictis be-ne-di-ctis」
■音程を外したか細い歌声。
「voca me, voca me」
■先程までの激情も、握りつぶされてゆく腕への苦悶も感じさせない、
「voca me cum benedictis」
■ただ静かに泣いているような声だった。

■眼下の建物群が途切れ、高い銀色のタワーが見えた。
■海上砲台へと電源を送るための、送電用ケーブルと鉄塔。
「Oro suplex etacclinis」
■その向こうに光る海面。揉み合いの末、メガフロートの端まで飛んできていた。
「Corcon tritum quasicinis」
■フッケバインがわずかに降下しつつ速度を上げた。

⇒NEXT

名前:“半分屑鉄の”ベノム
智識再構成率39%
話した言葉:記憶_MADANGEL2_12

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