■国家憲兵隊。
■愛路が言葉をつまらせ、困ったように頭を掻いた。
■…彼女が?
■それに、この間訪れた憲兵隊員…九手院明亜は確かに言っていた。
■市の抗議を受け、国家憲兵隊はこの街を引き上げると…

『…言いたいことは色々あるけど、言い合ってる場合じゃなくなった。
早く乗って。こっちじゃなくて、「ちがいますちがいますこっちじゃない」
前に、前に!!』
■よいしょ、と荷台に足をかけた愛路を両手で制し、キャビンを指差す。
■そちらに回ってみると、空っぽの運転席があった。…シートが一つ。
「これ、どう見ても一人乗りなんだけどぉ…」
『急いで!!』

■亜子に急かされ、仕方なく狭い運転席に二人で無理やり乗り込んだ。
■抱きかかえるようにして愛路を膝上に乗せると、彼女は珍しく居心地が悪そうに顔をそむけた。
■すると、何にも触れていないのにエンジンが回転数を上げ、走り出す…。
■運転はこの車に脳接続した亜子が、荷台から行っているのだろう。

「……別にぃ、最初から隠しておこうって思ってわけじゃないんだけどね?」
■顔を背けたまま、バツの悪そうな声。
■なにかと思えば、さっきの国家憲兵隊という話か。
「…そうでもないか。割りと隠してたかぁ… 私はそうだね、私服警官みたいなもんかなぁ」
「ここに居る間、任務があったのは本当。でも、キミと仲良くしたかったのも本当だよ?」
■上目遣いで、申し訳無さそうに笑う。
■人を欺くためにしては、邪気がない表情に見えた。

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名前:“半分屑鉄の”ベノム
智識再構成率39%
話した言葉:記憶_MADANGEL_19

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