「ねえ、じゃあ、アナタは?」
『…私?』
こちらへ"飛んできた"少女…フッケバインが、窓手摺の上に立って話しかけてきた。
黒く染まった空を背に、黒いドレスの少女は問う。
「アナタはだあれ?どうしてここにいるの?」
ガラス越しの声が聞き取りづらく、仕方なく窓を開けた。
『私、私は…茂野花。』
「ハナ!」
『私はそうね…ここに閉じ込められているの。悪いことをしたから、その罰で』
「そうなんだ…可哀想」
感情がこもっているのかいないのか。フッケバインは大げさに表情を変え、肩をすくませる。
『フッケバイン…は?あなたはどうしてこんなところにいるの?』
「私はね、迷子なの。ずっとずっと。」
僅かな面積の手摺の上で、両手を広げて片足で立つ。
そのままくるりと回ってみせ、月の光を浴びながらからからと、自らの『不幸な身の上』を嘲う。
「大切な人を失って、たった一人で迷い続けているところ!」
その姿が可笑しくて、妖しくて、おそらく関わってはいけない類の存在と感じつつ、しかしどこか拒めない。
『そう、あなたも苦労してるのね…』
"迷子の自分"を軽やかに笑い飛ばす少女を見て、なぜか自分からも、微笑が漏れた。
名前:“半分屑鉄の”ベノム
智識再構成率39%
話した言葉:4-00-110997-2C8798-3
高評価
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