Memory…… NO DATA

今日の体調は一段と酷かった。
血に染まったタオルをゴミ箱に投げ捨て、喉奥に残る鉄の味を噛み締めながら無理矢理に瞳を閉じる。
どうして、どうしてこんなに苦しまなくてはならないのか。

無駄な思考を積み重ねた末にやっと訪れた微睡みは、
首を絞められたニワトリの断末魔のような歌声で遮られた。

「Auf Flügeln des Gesanges,
Herzliebchen, trag' ich dich fort!」

耳障りな歌で目を覚まされたことよりも
孤独を打ち消してくれる存在が現れたことを喜んでいることに気づき、
それがたまらなく奇妙で、私は布団の中で小さく笑った。

「Fort nach den Fluren des Ganges!
Dort weiß ich den schönsten Ort!!」

出会ったときから変わらない、おそらく元のメロディーの原形を留めていないのだろう、
有り体に言ってしまえばド下手くそな歌。
詩の意味もわからない異国の歌詞が、路壁に突っ込みながらジグザグ走行する暴走車のような音程に乗る。

…でもそれが、どこか耳に心地いい。

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名前:“半分屑鉄の”ベノム
智識再構成率39%
話した言葉:9.20-10.00-3.86-1

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