Memory…… NO DATA


日が傾き、夜の帳が降りてくる頃。
咳き込む喉に錠剤を流し込んで黙らせ、ベッドの上で膝を抱えたまま、
一体どれだけの時間が過ぎたのだろう。
憂鬱に沈んでいた心に、それは聞こえてくる。

「Ich weiß nicht, was soll es bedeuten,
Daß ich so traurig bin.」

音をいくつも外し、しゃがれた声のカラスが喚いているような歌声は、
お世辞にも上手と言えるものではない。

「Ein Mährchen aus alten Zeiten,
Das kommt mir nicht aus dem Sinn.」

何を歌っているのかも分からない、異国の詩。
元のメロディを知らなくても分かる、音の外しっぷり。
それでも……わざわざ窓を開けてまで、
"彼女"の歌声をよく聞きたいと思うのは、

「Die Luft ist kühl und es dunkelt,」

…きっとそれが、血を吐くように絞り出される、
痛ましい悲鳴にも似た歌声だからだろう。

「Und ruhig fließt der Rhein.」

…一体、彼女は誰にその歌を捧げているのだろう。
そう思いながら、その歌を聞き終えた私は、小さく手を叩いていた。

「!」

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名前:“半分屑鉄の”ベノム
智識再構成率39%
話した言葉:978-1502339393-1

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