『…わからないわ。』
私は目を伏せてつぶやく。
知らない。恐怖に立ち向かうすべなんて、ものなんて。持っていない…
フッケバインが窓から身を乗り出す。
私の顔を覗き込みながら、「じゃあ」と唇を開く。
「私、歌うよ。ハナの"なにか"が見つかるまで。ハナの恐怖が消え去るように」
『フッケバインが?』
「そう!ハナが暗闇を歩いていけるように、私が歌で先導するの!」
…そういえば、歌声で誘い込んで船を沈める魔物の伝説があったような気がするが。
先程、一瞬見せた心配そうな顔は、本物だったと思うから。
狂気を湛えて微笑う、この可愛らしい怪物に、
心を許してしまいそうだと考えていた。
名前:“半分屑鉄の”ベノム
智識再構成率39%
話した言葉:978-1502339393-3
高評価
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