声のした辺りの物をどかすと中から猫耳の生えた少女が出てきた。猫耳をつけているのではなく、頭からにょっきりと生えている。
この少女こそがこの家の主であり、先程のツッコミをいれた本人であり、この騒動の発端である。名前は橙と書いてチェンと読む。種族は人間ではなく、妖怪の中でもメジャーな猫又である。
そう、俺は今普通の世界とは異なる地で、異なる種族と、ちょっぴり変わった日々を送っているのだ。
この地の名前は幻想郷と言い、俺の過ごしていた世界とは違い神も妖怪も、更には幽霊や妖精なんてものもいる昔ながらの日本の地である。前に居た世界とは隔離されていて云々と説明されたことがあるが、細かいことまでは覚えていられるほど当時は冷静ではなかったように思う。
と、他のことに気をとられている内に少女がずっと睨み付けていたようでやっと顔を向けるとすごい勢いで捲し立ててきた。
→