「本当だよ、もう!……はぁ、どうしろってのさ、こんなもん。」

そう言ったチェンは近くにあった健康ブレードを拾い上げビヨンビヨンさせている。もし怒りが再燃しあれで叩かれでもしたら痛いなんてものではない。凄いんだぞ、強いんだぞ、健康ブレード。ブレードの名は伊達ではないのだ。
と、いうわけでここは殊勝な発言をしておくことにした。

なぁ、チェン。流石に申し訳ないと思ってな、この片付けは俺に任せてチェンは自分のことでもしててくれ。あ、でも朝飯を食べてからにさせてくれよ?

「えっ、どうしたの?あなたからそんな発言が飛び出るとか何かの病気……?」

あの、俺だって普通に傷つくんですよ……?

「まあいいや、あなたがそう言うならそうしてもらおうかな。今日は午後から出掛けちゃう予定だったしさ。」

なら帰ってくるまでの間に綺麗にしておかないとな。

「……本当に大丈夫?もしかしてもう一人の僕が目覚めたとかそんなことはない?」

一度チェンの中の俺のイメージについてじっくりと語り合わねばなるまい。そう誓いながらもやんわりと否定しつつ朝飯を食べに居間に向かう。

ある秋の日5