「進捗はどう?」

そんな特定の方々の心を抉るような聞き方をして来た。他意はない、と思いたい。
まあ、見ての通りだよ。これから要るものを突っ込んでこうと思ってたんだが。

「思ってたけど、何?」

その前に一休みしてたら秋の空は高く見えるなー、なんて考えてた。
そう返したあと今度は庭に目をやる。すると紅葉しているものがちらほらと伺えた。本当に、もうすっかり秋なんだな。

「ね、この前までは溶けるかと思うほど暑かったのに。なんだか嘘みたいだね。」

妖怪なんて嘘臭い存在が何を言ってんだか、なんて思ったものの口には出せずそのまま頷く。 しばし二人で庭をぼんやり眺めながらまた考え事をする。

秋、幻想郷の秋と言えば二柱の神が活気づく頃だ。
人里は今頃感謝の意を込め収穫祭の準備をしている頃だろう。
妖怪の山は前の世界とは比べ物にならないくらい綺麗な紅葉の数々が荘厳な滝を飾っているはずだ。
神社では秋ならではの美味しいものをそれぞれが持ち込み夜通しで宴会を催すかもしれない。……まあ、あそこは大抵どの季節だろうが関係なく気が向けば宴会騒ぎなのだが。

色んな場所へ想いを馳せる。つい心が躍ってしまう。ああ、今年はどんな景色が見れるのだろうか。どんな思い出が出来るのだろうか。そうだ、また今度チェンを誘って巡ろうではないか。この神々の愛した幻想郷を。
そう思うと自然と体に力が入り、この片付けも早々に終えられる気がした。

あとがき













ぼーっとしすぎたらしく、その後こっそりと健康ブレードを持ってきたチェンに気付かずにいたせいで思いきり叩かれたのはここだけの話。
ある秋の日7