耳を澄ますと少しばかり懐かしい鳴き声がした。
リ「やぁ、いらっしゃい。」
橙「急に押しかけてごめんね?今日は運動がてら秋を感じに来ようかと思ってさ。」
リ「ならちょうど良かったね。今鈴虫を集めてたんだ。」
なるほど、それで鈴虫の鳴き声が。少し間を置いてまた涼しげな声がする。これはなんとも気持ちがいい。
リ「普段は夏真っ盛りの時から鳴くんだけど今年は少し遅くてね。秋の風物詩とかよく言われるし夏も終わる頃だからちょうどいいんじゃないかな?」
確かに。立秋が過ぎても下がる気配のない日を過ごしていたがやっと秋らしさを感じる事が出来た。
橙「ふふ、夏も終わりだね…たまには出掛けるのもいいでしょ?」
ああ、本当に良かった。
こうして久々の外出は小さい秋を見つけて幕を閉じるのだった。
あとがき