よく来たね、○○。
この話は「夢」に関する話だよ。
不思議な夢を見た、とか怖い夢が〜とかそういう話ってちらほら見かけるよね。身近だしいつ見るか分からないしうってつけだもの。今回はそんな夢が題材なのさ。
これは私の友人に起きた不思議な話。
それが起きたのは雲一つない夏の昼の事だったらしいんだけどね。
その日は家には私の友人、仮にAとするけどそいつ以外居なくてね、祖父と祖母は旅行へ、父親は仕事で母親は病院へ、兄弟はそれぞれ部活やら遊びやらで出払ってたんだって。
Aは特別やる事もないから昼寝でもしようと思ったそうな。でも寝る前にふと違和感を抱く。Aがいつも足を向けて寝ているのは縁起がどーたらで北西らしいんだけど、そこには台所しか無く当然今は誰もいる筈はない。でも何かが居そうなそんな気がする。
Aは行こうか行くまいか迷っていたけどとうとう思いきって台所を見に行く事にした…が、やはり気のせいだった。誰も居ない。
念のために人の居れそうなスペースを見て回るけど誰も居る筈もなく。そりゃそうだよね、出払ってるんだからさ。
一安心したAはちょっと疲れてるんだろうと思い自分の寝室に戻って昼寝する事にしたんだ。
しかしなんだか寝苦しくて目を覚ますとあまり時間が経っていなかった。時計の針を見ると一時間もしていない。
Aは寝直そうと思ってまた寝転がろうとすると台所の方にさっきよりも酷い違和感を覚える。
しかしさっき一度見て回ったじゃないか、そう言い聞かせて寝転がった瞬間台所から「ガタン!」と音がする。その音はまるで物を蹴飛ばしたような音だった。
酷い違和感とあいまってAはまた台所を見に行く事にする。しかし近付く度に空気が重苦しくなっていく気がする。
なんだこの雰囲気は…Aは一度引き返そうとも思ったがどうしても気になり見なくてはいけない気がしてきた。
Aはとうとう決意して台所に入る事にした。パッと見はなんもない。…そう、見た目はね。
でもただ一ヶ所だけどんよりした空気が漂っている、そんな気がする場所があった。
そこは窓際の方の下にある棚だった。サイズ的に小さい鍋やざるを収納する場所だった筈。
思い返せば棚にぶつかったような音の中に金属がかするような音がしないでもない。
好奇心と見なくてはいけないという謎の義務感が一歩ずつその場所へと足を運ばせる。
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