UとKは決めた通りの荷物と懐中電灯の電池の予備だけ持って元教習所に集まっていた。
だんだん日が沈み辺りも静まり返ってくる。二人はそれだけでだいぶ雰囲気が出てるな、なんて余裕をかましていた。
最初にKがUと元教習所をビデオカメラで移し「本日は私Kと友人がこの廃墟を〜」と実況しながら撮っていた。
すると急に「ゴトン…」と重苦しい扉が閉まったような音がする。
その音にびっくりして二人は建物から距離をとる。
「今の音はなんだ?」とUが言う。しかしKが見ていた限りは誰も入ってなかった筈。
一度ビデオカメラを再生してみるものの何も映っていない。なんだ、気のせいか…二人はそう自分に言い聞かせたそうな。
そして気が落ち着いてきた頃、とうとうUは中に入る決意をする。
廃墟は三階建てで、非常階段はまだ使えそうだったので非常口の開いてるとこから入ろうという事にした。
一階から確認していくU。…一階は開かない。その事を身振り手振りで伝えるU。
その様を撮り続けるK。画面の中でUは二階へ上がっていく。…あそこもどうやら開かないようだ。
そして三階…開いた。両手で頭上に丸を作り合図するU。それを確認したKはオーケーサインを出し中に行くよう指示する。
Uはそれを見て頷き中に入っていく。
その瞬間KのビデオカメラにはU以外の誰かがチラッと映ったような気がした。が、気のせいだろうと勝手に自分を納得させる。
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