ようやく落ち着いたところで聞いておきたい事がある

その背中の翼についてだ。コスプレにしたって素人の目から見てもクオリティが高すぎる


「・・・本物です」

本物らしい、ゲームやSF映画でしかみない人種を現実で見る事になるとは

・・・観察してると自分自身人としてどうかと思うので別の話に切り替えよう

いきなり家の中にいたことだし、何故家の中にいたか聞いてみる


「……わからないです…ここは幻想郷ではないみたいですし…」

幻想郷?聞いたことが無い。

彼女の話では、その幻想郷には様々な人がいるとか

そこには人だけではなく、漫画にいそうな妖怪や神様がいるとか

なにより驚いたのは彼女自身、妖精だと言う事に驚いた。テレビで頭が春全開な天然キャラの人が言ってるような事が自分の目の前にいるのだから

やはりまたまじまじと見てしまう


「…あ、あの……」

・・・いけない、不安な彼女をこれ以上怯えさせてどうする。

で、彼女がいた場所。幻想郷には帰れるかどうかだが、そもそも俺の家の中にいたんだから無理だろう。そんな入口、我が家にはない。

不安でいっぱいなのだろう、今にも泣きそうだ。いきなり知らない場所に、誰もっ知り合いが誰もいなく、帰る方法がわからないなんて、きっと俺もそんな場面に直面したら泣きたくなる

だから、彼女をここにいさせようと思った。こんなところにいるのも何かの縁だろう


「……いいんですか?」

別にこの子がいてマイナスになる事はない。強いて言えば、風呂上りに裸で歩きまわれないくらいだ

「じゃあ…よろしくお願いします」

ふかぶかと頭をさげてきたのでこちらも釣られて頭をさげる。そういえば名前を聞いていなかった

「私?私は……名前はありません」

なんと、名前がないらしい。これはどう呼んでいいのか・・・

「周りはいつも大妖精と呼んでました」

そう彼女が言っていたのでこちらも大妖精と呼ぶことにした

不安な顔からちょっと笑った顔になった時にドキッとしてしまった事は内緒にしておこう





                      
名もなき出会い5