雛
「金魚すくいの『すくい』っていうのはね、『掬い』と『救い』をかけてるのよ
だからいっぱいすくってあげて、豪族さん」
布都
「我にお任せを!厄神殿」
屠自古
「おい布都、もうそこまでにしろ。いくら使ったと思ってるんだ
これではわたしが形抜きできないじゃないか」
布都
「何を言ってるのだ屠自古よ。ここは我が救ってやらなければ誰が救うというのだ」
屠自古
「お前は既に足元掬われてるがな」
にとり
「
ひなりん巻き上げるのもそこまでにしようよ」
雛
「
ごめんなさいこの人があまりにも素直だから面白くてつい」
レティ
「この魚が金魚?赤いけど」
雛
「あらいらっしゃいへんたい……冬妖さん」
「言い切っちゃったよこの人」
にとり
「どっかの偉い人がねー輝いて見えたから間違えたんだってー」
レティ
「ふーん
でも確かに綺麗ね」
雛
「ねえ優しい妖怪さん。あなたの手で金魚をすくってあげて」
レティ
「ちなみに掬いきれなかった分はどうなるの?」
雛
「殺処分」
レティ
「え」
雛
「殺処分」
レティ
「う、嘘よね?」
雛
「さーつーしょーぶーんー」
にとり
「こら雛、嘘言わない」
雛
「あらやだにとりったら、面白くないわね」
レティ
「あ、あー、良かった。良かったよぉ……」
「はいはい泣かないの」
布都
「聞いたか屠自古!救いきれなかった分は殺されてしまうんだぞ!」
屠自古
「そのあと河童が嘘だと言っただろうが阿呆」
レティ
「……このポイっていう紙を使って掬うのね
破れて無理なんじゃない?」
「慎重にやれば大丈夫だよ
慎重すぎても厳しいけど」
レティ
「奥が深いのねぇ
いいわ、そーっと……よいしょっ」
(ビリッ
レティ
「あっ」
にとり
「あー水圧で破けちゃったねー
斜めから入れて、出すときも斜めにしたら破けにくいよ」
雛
「はい、あと一回
別に何回でもやってくれていいけど」
レティ
「……うー、ねえ、次はあなたがやってみて?
真似するから」
「わかったよ
せいっ!」