(数年前)
?「ほら、早く早く!」
〇「ま、待てって!」
今日は授業が終わってから――と出かける約束をしていた。約束の時間より早く着いたつもりだったがそんなに待つこともなく彼女はやって来た。
〇「そんなに急がなくても…。だいたい約束の時間までまだ30分以上あるじゃないか」
?「そう言いながらも私が来るより先に集合場所についていた〇〇くんなのでした」
〇「うっ…」
――は楽しそうに笑っている。
僕はこいつに口で勝てたためしがない。この学校に入学して知り合ってからただの一度もだ。
〇「…そんなに僕に会いたかったのかよ」
やられっぱなしは悔しいので少し言い返してみる。僕もやめておけばいいものを…。
?「もちろん♪」
〇「っ…///」
こ、こいつは何を…!
?「アッハハハ!!〇〇くん顔真っ赤だよ♪」
〇「う、うるさいな…」
?「照れるなら最初から言わなきゃいいのに」
〇「うるさいってば!」
あーもう、本当に言わなきゃよかったよ。
?「〇〇くんは本当にわかりやすいねー。顔に出すぎ」
からかうように――は僕の顔を見つめてくる。
〇「君はその人をからかう癖をなおした方がいいと僕は思う」
僕は慣れているからいいけど冗談が通じない人だっている。ただでさえこの学校は融通の聞かない人が多いんだから。
?「それは無理かなー」
――はいたずらっぽく笑いながら僕の頬を指でつついて言う。
?「だって〇〇くんからかうと面白いもん、それに私がこんなことするの〇〇くんだけだしね♪」
ああ、本当にこいつにはかなわないな…と、改めて思い知らされる。
?「ほら、しっかり買い物に付き合ってもらうからね!」
でもそんな毎日が僕はたまらなく好きだった。
……