名前:観月しおり&観月さおり

バカ犬の命がお嬢様に弄ばれた回数359回

幸せです、お嬢様…

「はい、犬君♪
射命丸からのお届けものだよ」
リグルがテーブルの上に置いたのは、一枚の写真だった。
「あぁ、ありがとう、リグル」
その写真とは、幻想郷の景色を映した写真で、僕が射命丸にお願いしたものだった。
「ところで、犬君」
リグルの顔が急にムッとした表情に変わる。
「なんだい、リグル?」
「話が違うじゃないか。
政府の私たちに対する態度が、これっぽちも変わってないよ」
リグルが怒るのも無理はない。
リグルたち幻想郷の住民たちは、ミルティアナ共和国内では一等人民としての扱いは
されておらず、二等人民としての扱いしかなされていないのだから。
だから僕は、さおり様に直接、彼女たちの処遇の改善をお願いしているのだが、一向に改善されていないようなのだ。
「施設の利用料とか、ジュースの値段とかが全部割高な料金にされちゃうんだから、たまったもんじゃないよ」
リグルはテーブルにある椅子に腰掛けながら、口を尖らせて言った。
そりゃあ、腹が立つのも無理はない。
特にリグルは、虫の王というだけあって、その風貌から差別を受けやすいであろうことは想像に難くないのだから。
「犬君、早くなんとかしてよ。
このままだと、僕のお財布が空っぽになっちゃうよ」


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