まいな様の真意はともかく、僕はリグルと、まいな様に美味しく自分を食べて欲しい。
その気持ちでいっぱいになった。
痛みは嬉しさに、苦しみは喜びに変わった。
ザクザクと左腕の肉を削ぎ落とし、気がつけばフライパンの上は、僕の肉で山盛りとなっていた。
意識が少しずつ朧気となってきている。
僕の命は、もう長くないのかもしれない。
僕はそう思いながら、はたりと床に倒れてしまった。
「頑張ったね、犬さん。
えらいぞ♪
ねぇリグルちゃん、一緒に犬さんにご褒美あげよ☆」
「もぐもぐ…
…ごくり。
ご褒美…?」
「うん、ご褒美だよ☆」
まいな様が、僕の骨がむき出しになってる左腕をつかみ、僕を仰向けにしようとする。
けれど、力加減を間違えたのか、ズボリと肘から先の部分の骨が引っこ抜けてしまった。
「犬さんの左腕の骨…
これは、もういらないね」
まいな様は無造作に僕の骨を投げ捨てると、今度は僕の右腕をつかんで、僕を仰向けにした。
「うふふ…♪
犬さん、まだ生きてるよね?
ほら、まいなからのご褒美だぞ♪」
そう言い終わると、まいな様は僕の顔に顔を近づけて、左手で僕の顎をおろし、口を開けさせる。
「ん……」
まいな様の口から、糸を垂らしながら甘酸っぱいご褒美が…
まいな様の唾という、とっても幸せいっぱいのプレゼントが…
「うふふ♪
ちゃんと味わって飲んでね、犬さん」
…はい、まいな様…
ありがとうございます、まいな様…
「次はリグルちゃんの番だよ☆
犬さんに、ちゃんとご褒美をあげてね♪」
「う、うん…!
…えっと、犬君…」
まいな様の顔に代わって、次に現れたのはリグルの顔だった。
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