頭の中が真っ白になりながら、俺は牢獄を飛び出した!
さらばだ、クソ豚小屋!
こんな場所で野垂れ死ぬなら、俺は勇気を示して死んでやる!
タタタターンッ!聞きたくない音が、山ほど聞こえた気がする。
弾はどこへ?
…………。全弾外れたのか?
あれだけの発砲音が聞こえたのに?
……………。そっと、横を見る。
まず、左。
憎きも憎き、俺を豚小屋に押し込んだ奴と、その部下どもが、短い階段を登り切った先に見える。
だが何やら様子がおかしい。
全員がガタガタと震え、中には少し後ずさりをしている者もいる。
退くな!
撃て……撃ち殺せ!かくいう本人がプルプルしているのに、何を言っていることやら。
次に足元を見る。
…なるほど、これが『銃弾』というものか。
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