何してたのかな…さおりちゃん？
抜け駆けは禁止だよって、約束してたよね？
しかも、その約束を誘ってきてくれたのは、さおりちゃんだったよね？
どうして、こんなことしてるのかな…？

あら…
おにいちゃんの望みを叶えてあげてただけよ？
そ、それと…ちょっと…ちょっと我慢できなくなっただけよ。
それは素直に謝るわ。
ごめんね、しおりちゃん。

あわわわ…
(こ、怖いよぅ…)

トテトテ…

し、しおり様…？
(あぁ…
しおり様に殺される…)

……可哀想なお兄ちゃん。
縄跳びの後が、クッキリと残ってるよ。
すっごく痛そう。

むぎゅっ…

ちょ、ちょっと、しおりちゃん！
今すぐ、おにいちゃんから離れなさいよ！？
あたしのおにいちゃんよ？
おにいちゃんはね、もうあたしのモノになるって、誓ってくれたのよ！？
それに…その傷だって、おにいちゃんがあたしに望んでいたものなのよ？

うぅ…
(さおり様…)

そんなことないよね、お兄ちゃん。
さぁ、こっちにおいで、お兄ちゃん。
わたしが、幸せにしてあげるよ。

……！？
バカなこと言わないで、しおりちゃん！
いくら、しおりちゃんだからって…
そんなこと…絶対に許さないわ！

おいで、お兄ちゃん。
お兄ちゃんのこと、わたし全部知ってるんだよ？
お兄ちゃんのこと、ずっと待ってたんだよ？
誰よりも、お兄ちゃんのことを…愛してるのは、わたしだよ。
だから、おいで…お兄ちゃん。
私が、世界一幸せにしてあげるよ。

おにいちゃん、行っちゃダメよ。
…しおりちゃん、たまに変になっちゃうのよ。
今、それが出てるだけだから。
だから、行かないで、おにいちゃん…

………。
お兄ちゃん。
さおりちゃんはね、クラスでいじめっ子になっててね…
それでね、クラスからどんどん嫌われていって…

……！？
しおりちゃん！
それは、今は関係ないでしょ！？

酷いんだよ、お兄ちゃん。
逆に虐められる前にはね、弱い子からカツアゲしたり…トイレに私物を投げ込んだり、やりたい放題してたんだよ。

どうしてよ…しおりちゃん…
それは全部…おにいちゃんのために…
おにいちゃんに、強いあたしを見てもらうために…したことなのに…
どうして、あたしが悪者になってるわけ！？

お兄ちゃん、惑わされないでね。
わたし、お兄ちゃんのこと…信じてるから。

…………。
(どうして、こうなっちゃったんだろ…
僕に…僕が…
全然ダメダメで、自信のかけらも取り柄もない僕が…
どうして…こんなことに？)

おにいちゃん…！

お兄ちゃん…

ぅ…ぅ…
(僕は…僕は…)


さおり様に抱きつく
しおり様に抱きつく
選ぶなんて出来ない