【朝】(1936)
作詞 島崎藤村
作曲 小田進吾(本名:高階哲応
小田進吾というペンネーム以外にも、『高階哲夫』というペンネームも持っている)
(編曲 仁木他喜雄)
朝はふたたびここにあり
朝はわれらと共にあり
埋れよ眠り行けよ夢
隠れよさらば小夜嵐(さよあらし)
諸羽(もろは)うちふる鶏(くだかけ)は
咽喉(のんど)の笛を吹き鳴らし
きょうの命の戦闘(たたかい)の
よそおいせよと叫ぶかな
野に出でよ野に出でよ
稲の穂は黄にみのりたり
草鞋(わらじ)とく結え鎌も執(と)れ
風に嘶(いなな)く馬もやれ
ああ綾絹(あやぎぬ)につつまれて
為(な)すよしも無く寝(い)ぬるより
薄き襤褸(つづれ)はまとうと
活きて起つこそおかしけれ
匍匐(はらば)う虫の賤(しづ)が身に
羽翼(つばさ)を恵むものや何
酒か涙か歎息(ためいき)か
迷いか夢か皆なあらず
野に出でよ野に出でよ
稲の穂は黄にみのりたり
草鞋(わらじ)とく結え鎌も執(と)れ
風に嘶(いなな)く馬もやれ
島崎藤村の詩集『落梅集』に収録されている『労働雑詠 其の一 朝』より、歌詞が抜粋されているわ。
作曲者は小田進吾となっているけど、本名は高階哲応という人で、作曲以外にも音楽をやっている人よ。
国民歌謡として発表されたけど、歌詞の元になった労働雑詠という作品名からも察せられるように、あたしとしては『労働歌』という位置づけも有りだと思うわね。
労働雑詠については、ココで読めるわ。
音源はココで聴けるわよ♪
(1941年:藤山一郎・加古三枝子バージョンよ♪)