名前:観月しおり&観月さおり

バカ犬の命がお嬢様に弄ばれた回数359回

幸せです、お嬢様…

かおり様は仕方なく、どこか休息を取れる部屋はないかと、次々とドアを開け、ついに望みの部屋を見つけます。
「はぁ…
とんだ目に遭ったわ」
かおり様は、荷物を置き、ベットへと腰をかけます。
「何が魔術書よ…
狂ってるわ」
そして、ベットへと上体を預け、また一つ、ため息が出ます。
「魔術書…ね。」
かおり様の怒りで熱のこもった頭が、少しずつ冷えてきます。
代々より、観月家は子作りの際に、相手となるオス犬を処刑する儀式を行っておりました。
それは、オス犬がより激しい射精をするように促すためとも、子が確実に宿るようにとも言われており、どれが
正しい理由なのかは未だに不明です。
しかし、その儀式もまた、儀式と名のついている限りは、先ほど馬鹿にして払い去った魔術書と大して差がないのではと考え始めます。
「少し、悪いことをしたのかしら…」
女王としての正しい教育をお受けになられた、かおり様は、後悔の念を感じはじめます。
「後で、謝りに行きましょ…」
そう決めると、急に体が重くなり、ウトウトと睡魔が出始めました。
「ふわぁ……
そういえば、ここ数日間、ずっと歩きっぱなしだったわ…
少し、横になっても罰は当たらないわよね」
かおり様はブーツを脱ぐと、ふかふかのベットへと潜り込みます。
「おやすみなさい、ママ……」


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