しかし、かおり様はこんなときでも冷静です。
「ダメよ、れおなちゃん…
…というよりも、今回の予算は他所の部署にたくさん予算を配分しないといけないのよ。
新しい仲間、新しい組織、新しい体制に、新しい情報網…
かなりギリギリの予算になるかもしれないから、どちらかというと覚悟をしておいて欲しいわ…」
かおり様は申し訳なさそうに伝えると、グビッとグラスの中のワインを一気に飲み干しました。
「ふにゅ~…
かおりちゃんのケチ~」
少しつまらなさそうな顔をしながら、れおな様は頬を膨らませました。
なおみ様も口を開きます。
「れおなちゃん、無理ばっかり言っちゃだめだよ?
もうリアルタイムで、戦いは起きてるんだから。
ポルトガルで何が起きてるのか、れおなちゃんも知ってるでしょ?
最近は、体制側が黒色の薔薇戦線の存在に気づきはじめてるし…
とっても、綱渡りの状態なんだからね」
う~っ!と唸りながら、れおな様もグラスの中のワインを飲み干します。
「見ててよね、かおりちゃん、なおみちゃん!
れおなだけじゃなくて…みんなの技術、そして…
この、お腹の中の娘たちが…きっと、すっごい技術を作っちゃうんだから…☆」
その後も、三人のお嬢様の宴会は続き、いつしか床の上には、空になったワインボトル、食べ散らかした
何かの残骸や、そして、スヤスヤと幸せそうに眠るお嬢様方の姿がありました。
クズ犬は、そのお嬢様方の寝返りでペチャンコに押し潰されないように、そっと安全な机の下で横になりました。
「きっと、ここなら安全だよね…
おやすみなさい、かおり様、れおな様、なおみ様…」
第二章の目次に戻る