名前:観月しおり&観月さおり

バカ犬の命がお嬢様に弄ばれた回数359回

幸せです、お嬢様…

かおり様の新しい家は、さっきまでいた赤レンガ造りの建物からそれほど遠くないところにありました。
造りは同じく赤レンガで、質素なものとなっています。
この家は、みおり様がお住まいになられていた家で、みおり様が故郷を去った後は、村の人々が
手入れを続けており、いつでも、かおり様を迎えられるようになっておりました。
「ふーん…ここが、あたしの新しい家ね」
かおり様は、家の中をグルグル回り、隅々までチェックしています。
内装も、生活に必要最低限の物が備わってるだけで、まるで質素な家というものに、限界まで挑んだような
造りとなっていました。
「二階がないっていうのが気に食わないけど…悪くないわ」
かおり様が、満足気に頷くのが見えると、青年は「ありがとうございます、かおり様!」と
嬉しそうに答えました。
「これで、この魔術書の勉強も捗るわ。
クズ犬、貴方もここで住んでもらうわよ」
「はい、かおりさ………えぇ!?」
青年は大変驚きました。
突然、かおり様と寝起きを共にするように、かおり様直々に命令をされたのです。
「だって、貴方はもう、あたしのペットみたいなものじゃない。
尻尾を振って、この村で迎えてくれて、あたしが寝てたときも、ずっと部屋の前で待っててくれたのでしょ?
それに、幸せそうに、あたしの足に頬ずりしてたし…」


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