名前:観月しおり&観月さおり

バカ犬の命がお嬢様に弄ばれた回数359回

幸せです、お嬢様…

「綺麗なお城も…賑やかな通りも…教会すらもないじゃない…」
村の入口に立つと、かおり様は荷物を脇に置き、自然とため息が出ました。
周りは、目の前にある本当に小さな村と、麦畑です。
かおり様は最悪の事態を想定しました。
「もしかして…あたし、場所を間違えたのかしら?
実はブゼムラティックは、名を変えてプラハになっていたとか…」
そう考えるのは、とても自然なことでしょう。
現にプラハは、ミルティアナ共和国成立後、正式な首都となっていますし、このとき既に
大きな主要都市として栄えていたのですから。
そして、偉大なる祖先が、こんなボロ臭い村で生活を送っていたなんて、考えたくもないのですから。
「あの…すみません。
もしかして…その…観月かおり様でしょうか?」
村の中から、若い青年がオドオドしながら迎えに来てくれました。
その青年は、当時としてはとても風変わりな特徴を持っていました。
頭部に、白い犬のような耳を生やしていたのです。


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