名前:観月しおり&観月さおり

バカ犬の命がお嬢様に弄ばれた回数359回

幸せです、お嬢様…

「うん…分かった」
「はぁ…
ほんと、れおなちゃんは極端よね。
ほんと、昔から何も変わってないわ」
れおな様は、とても優しいお嬢様です。
しかし、このように真面目な話をするときや、自分や仲間に対して敵意を剥き出しにする者が現れたときは、決まって
このような眼差しへと変化するのです。
「まぁ、いいわ。
あのね、れおなちゃん…」
かおり様は、一から説明をはじめます。
このブゼムラティックが、祖先から伝わる、みおり様の故郷だということ、村長のこと、そして魔術書のことを…。
「うん…うん……」
れおな様は、かおり様の目を見て、真剣に一つ一つ話の内容を理解していきます。
説明は約二時間ほどかかりましたが、二人にとって、それはとても有意義な時間でした。
「…まぁ、こんなところよ、れおなちゃん」
はぁ…と、くたびれたように体をリラックスさせると、かおり様の口からまた一つ、ため息がこぼれました。
「なるほど…ね。
れおな、分かったよ」
そう言い終わると、れおな様の表情が普段のものへと変わります。
「ったくもう…
れおなちゃんの、その冷たい目……
何度見ても慣れないわ」
いや、慣れてしまうような状況下に遭いたくないものね、と、かおり様はふと思います。


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