名前:観月しおり&観月さおり

バカ犬の命がお嬢様に弄ばれた回数359回

幸せです、お嬢様…

「ふにゅ…
れおなの真面目モード、やっぱり怖いのかなぁ…」
「えぇ…
…でも、それも含めて、れおなちゃんの魅力とも思うわ」
それでも、慣れてしまうような状況下に遭いたくないものね、と、かおり様はふと思います。
「ところで、なおみちゃんは?」
なおみ様も同じく、かおり様とは、幼い頃からの親友です。
なおみ様は、とても礼儀が正しく、そして、時間をキッチリと守るタイプのお嬢様です。
ただ、なおみ様は今回のベネチア行きの便を決めるとき、少し気になる曖昧な表現をしていたのです。
「ふにゅ…
れおな、何も知らないよ?」
「あたしが最後に聞いたときは、珍しく『少し遅れるかもしれない』とだけ、言ってたわね…
…もう、肝心なときに」
かおり様は、ほんの少し毒づきましたが、心のそこから、なおみ様のことを心配します。
「無事だといいけど…」
噂をすればなんとやら、というものでしょうか。
再び、家の外が騒がしくなります。
「なおみちゃん!?」
かおり様は、またお着替えをする機会を逃しました。
そして、これもまた同じく、余韻に浸っているクズ犬を蹴飛ばして、家の外へと飛び出します。
「ひぎゅっ!?」
クズ犬は、目をパチリと開け、ピクピクと痙攣しはじめます。
どうやら、クリティカルな箇所へと蹴りが直撃したようです。
「ふにゅ~…!
待って、かおりちゃん~!」
ピクピクと痙攣するクズ犬を踏み越えて、れおな様も後に続きます。


次のページヘ25b
次のページヘ24b