名前:観月しおり&観月さおり

バカ犬の命がお嬢様に弄ばれた回数359回

幸せです、お嬢様…

「えぇ、そうよ。
あの…ここは、ブゼムラティックかしら?」
青年は「そうですよ」と答え、とても嬉しそうにこう言いました。
「お帰りなさいませ、かおり様!
僕たちは、貴女の帰りをお待ちしていました」
かおり様は、素直に喜べませんでした。
この青年は、たしかに自分のことをよく知っているようですし、ここがブゼムラティックだと
教えてくれたのですが、やはり何かひっかかるものがあるのです。
その答えを求めるため、かおり様は村長を尋ねることとしました。
「さっそくだけど、村長はいるかしら?
少し、お話がしたいの」
「はい」と青年は元気よく応えると、まだ舗装のされていない砂利道の上を歩き、
村長のいる赤レンガ作りの長屋へと案内してくれました。
その途中で、かおり様が到着したとの知らせを聞いたらしい村民たちが
次々と家から出てきて、かおり様へ向かって歓声を上げていました。


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