名前:観月しおり&観月さおり

バカ犬の命がお嬢様に弄ばれた回数359回

幸せです、お嬢様…

場にいる全員が、即時に同意しました。
そもそも、誰ひとりとして、この人数のみで戦えるはずがないと考えていましたので、これは当然のことだと思ったからです。
また、みおり様の想い描いた理想に共鳴する同志達が増えるということは、村民にとっても、とても喜ばしい
ことである上に、ブゼムラティックは一般的な村とは違い、みおり様の理想を
信じるものについては非常に開放的な村だったので、同志達が行き来することに対しても、否定的な態度を取るつもりは最初からなかったのです。
かおり様は次の議題へ話を移します。
「次の議題だけど、あたしは、みおり様の思想を本に纏めるわ。
この本には、ヘルミーネ・マルクスの最新の女王主義思想も取り入れようと考えているのだけど、どうかしら?」
これには村民の中で、意見が少し分かれました。
ヘルミーネ・マルクスとは、みおり様の影響を大きく受けたドイツ出身の女王主義者ですが、みおり様の思想を全てそのまま受け継いで
いきたいという保守派も村民の中にはいたので、今までとは違って即同意という訳にはいかなかったのです。
かおり様は、この議題だけは、おいそれと決まらないだろうと考えていたので、もう一押しをします。
「みおり様は、自らの思想が、例え一部だったとしても自らの理想を達成するための障壁となっているのだったら、その部分を改良
していくことについては否定しないはずよ。
それは、あたしが何よりも一番知っていることだわ」
かおり様の、この一言で迷っている村民達も腹が決まりました。
村民達は「そうよね」と口々に言うと、同意をしました。
「あたしは、適当なことを言っているのではなくて、彼女の本にしっかりと目を通して言っのよ。
だから、安心して欲しいわ」
かおり様が優しく微笑むと、村民達もまた、納得のいった表情をもって「はい」と答えました。


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