名前:観月しおり&観月さおり

バカ犬の命がお嬢様に弄ばれた回数359回

幸せです、お嬢様…

「これは、あたしの署名が入った身分証明書みたいなものよ。
もし疑われたら、この手紙を見せてあげればいいわ」
なおみ様は、急な大役を任されて、少し戸惑いました。
「い、いいけど…
なおみで、本当にいいのかな?」
なおみ様が心配そうに手紙を見ると、かおり様はクスリと微笑むと「当然よ」と返します。
「だって、れおなちゃんだと、同志と接触する時間に間に合わなくてトラブルになりそうだもの。
はい、これは交通費と護身用のルガーね」
かおり様はベットの中でモゾモゾすると、交通費と一丁のルガーP08を、なおみ様に渡します。
その横で、寝坊癖が原因で隣町への任務を外された、れおな様はムッと頬を膨らませて
無言の抗議をしています。
一方、なおみ様は心の中で「一体、かおりちゃんのベットの中は、どうなってるんだろう」と思っています。
「スェーチェについたら、村のパン屋さんにいるヘレナちゃんに会いに行くといいわ。
ここよりは少し大きな村だけど、ちゃんと迷わずに行けると思うから安心してね、なおみちゃん」
かおり様は、そう言い終わるとスヤスヤと寝息を立てて寝てしまいました。
れおな様と、なおみ様は互いに顔を見合わせると「やるしかないね」と言い、ぐっすりと
寝始めている、かおり様の期待に応えようと励まし合いました。


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