名前:観月しおり&観月さおり

バカ犬の命がお嬢様に弄ばれた回数359回

幸せです、お嬢様…

れおな様は、会議室から全員がいなくなったことを確認すると、さっそく志願書に目を通します。
ラッパ手を早く確保する必要があったからです。
「えっと…
ラッパ手を希望している子は…
あ、いたっ!」
クリスティナ・シュターミツという子でした。
「良かったぁ…
他には、いないみたいだね…」
ふぅ、と安堵の溜息がこぼれます。
もし、このクリスティナちゃんが志願していなければ、誰かの希望を崩して
ラッパ手になってもらう必要が生じるからです。
そうすれば、いくら事前に希望が通るか分からないと聞かされていても、少なからず、その子の士気に影響が
生じるのは言うまでもありません。
「さっそく、ラッパを渡しに行かなきゃ」
れおな様は、会議室のある村長の館を出て、その裏にある倉庫へと向かいます。
このやや古ぼけた赤レンガ造りの倉庫は、先ほど新兵の女の子達に渡した
小銃をはじめ、多種多彩な物資が保管されている倉庫なのです。
れおな様は、村長から借りている鍵を使い、倉庫のドアを開けます。
木製のドアが発する、甲高くて少し嫌な音が聞こえましたが、れおな様はそれよりも開けると同時に
飛び掛ってくる、無数のホコリの方が嫌で仕方ありません。
音のことなんて気にもかけてられなくなるくらいの数のホコリが、れおな様目がけて飛んで来るのです。


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