れおな様は、今日行った訓練内容と、クリスティナちゃん以外の子達の、志願書を見せなくてはいけません。
また、明日の訓練内容についても、指示を仰がなくてはならないのです。
「ただいま、かおりちゃん」
少しくたびれた様子を見せながら、れおな様は、机に向かって執務と研究に勤しむ同志司令官様へ挨拶をします。
すぐ横には、目隠しをされ両手両足を縛られた、クズ犬の姿がありました。
一体、何をやらかしたのでしょう。
しかし、れおな様には、そんなことに気を回すほどの余裕はありません。
全くの新兵、それも世界史上、例の殆ど無い『女の子のみで構成された軍隊』を構築しなければなりません。
しかも、それだけではなく、戦術や兵器、医療についても研究の旗振りをしなくてはならないのです。
れおな様の頭の中は、これからのことで一杯です。
「お疲れ様、れおなちゃん」
かおり様はペンを机の上に置くと、れおな様の報告を待っているように顔をじっと見ています。
「新兵達の士気は高くて、すごく真面目に訓練に参加してくれたよ。
ラッパ手志願者もちゃんといたし、とりあえずは順調かな」
かおり様の向かい側の席に腰を下ろすと、れおな様は今自分が抱いている不安を吐露します。
「かおりちゃん、小銃は何とか数だけは揃ってるけど、弾の数が圧倒的に足りてないよ。
それに、行軍訓練をするにも、必需品が足りなくて訓練を実施できないよ…
ふにゅ…」
きっと、明日の訓練内容は、予定通りに射撃訓練が盛り込まれたものになるに違いない。
れおな様は、そのことを予測して、訴えかけたのでしょう。
かおり様も、その点の不安は抱いていました。
「そうね…
でも、予定通りに射撃訓練を実施して欲しいわ。
なおみちゃんが、スェーチェに向かっているのは知ってるわよね?」
かおり様は、れおな様に話を振ります。
知ってるも何も、目の前で、命令が下されたのを見ているので「うん」と、れおな様は返事をします。
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