「スェーチェには、頼もしい同志がいるみたいなのよ。
その同志に頼み込んで、必要なものを横流ししてもらうしかないわ。
今は確かに、苦難のときだけど、それももうすぐ終わるわ。
何としても二年後を目処に、力強く第一旅団が行進する姿を見たいものね」
二年後と、かおり様は言いました。
一見、現実的に見える期日ですが、それは大間違いなのです。
一から全てを編成するため、それも十分な物資も兵器もない状態からの
スタートなので、とてもではありませんが、無謀に等しい期日だったのです。
しかし、かおり様は二年後と言いました。
それは、何よりも同志たちを心より愛し、信頼している証左でもあるのです。
だから敢えて、非常にチャレンジングな期日を設定したのでした。
「ふにゅ…
二年後、かぁ…」
れおな様は、少し無謀じゃないかな、と思いました。
しかし、かおり様が二年後と言った以上、何か根拠があると思い、黙って従うことにします。
今、自分に出来ることは、この二年後という目標に向かって、立派な第一旅団に育て上げることなのですから。
「ふにゅ、分かったよ、かおりちゃん。
ただ、物資は早く揃えてね?
訓練に影響が出ちゃうから…」
かおり様は、こくりと頷くと「えぇ、分かってるわ」と答えました。
そして、明日の訓練は事前に渡した指示書通りに行うと伝えました。
「明日は予定通りに訓練を実施するわ。
しっかり頼むわよ、れおなちゃん!」
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