昔、幼いクリスティナちゃんは、趣味でラッパを吹いたことがあったのです。
今もラッパを、こっそりと山の中などで吹いているのですが、当時は村の中でも吹き鳴らしていたようです。
ところが、周りの友達も幼い年頃ゆえに、クリスティナちゃんが
少しでも吹き間違えると、指をさして笑ってしまうので、それが本人のやる気を削いでしまったようです。
しかし、それでもラッパを吹きたいという強い意志もあり、それ以降はこっそりと、山の中や、村を少し離れた
ところなどで練習を重ねていたのです。
そういった実績もあって、れおな様が渡したラッパ手用のセットを受け取ると、直ちに山奥でチューニングを開始。
チューニングがひと通り終わると、家に戻って、ラッパ手の譜面を眺めてすぐに覚えたそうなのです。
ちなみに、幼い頃に指をさして笑っていた子は、今の彼女だということらしいです。
本人は、クリスティナちゃんに今でも「村でも吹きなよ」と言っているそうですが、今となっては
騒音の面で控えているとか。
何はともあれ、再び村でも吹けるようになって、めでたい話なのです。
「へぇ…そうだったのね」
かおり様も、途中から話を聞いていたそうです。
知らぬは、れおな様だけだったみたいで、新兵たちは直立不動の姿勢で、かおり様に敬礼をしています。
「あ、かおりちゃん!」
れおな様が、やっと、かおり様の姿に気づきます。
「なるほどね…話は聞かせてもらったわ。
これからも頑張りなさいよ、クリスティナちゃん♪」
かおり様は、クリスティナちゃんを抱きしめます。
クリスティナちゃんは緊張した面持ちで「はい!」と答えました。
「さぁ、今日も一日頑張ってね、みんな!」
かおり様は全兵士に告げると、一旦解散としました。
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