「お褒めの言葉、ありがとうございます…!
さぁ、このお部屋ですよ、かおり様!」
かおり様は、村長自らが出向いて迎えに来てくれなかったという点については、少し
不満をお持ちになられていたようですが、その考えはすぐに捨て去ります。
女王たるものは、とても寛大でなくてはいけないと、幼い頃から教育をされていたからです。
「村長様!
かおり様がお見えになられました!」
ノックをしながら、青年は大きな声で伝えます。
返事は聞こえません。
しかし、青年は「どうぞ、お入りください」と、かおり様に申し出ます。
なぜならば、村長と観月かおり様。
序列上、かおり様の方が当然上なので、本来なら村長に入室を伝える必要すらないのですから。
しかし、かおり様のことを考え、一応ではあるものの村長へとご到着と入室のことを伝えたのです。
「それじゃあ、遠慮無く入らせてもらうわ」
ドアを開け、かおり様は村長のいる部屋へと入ります。
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