「義勇兵については、どうだったかしら?」
「バッチリだよ、かおりちゃん。
武器はあるけど、訓練が全く出来なくて困ってたみたいだから、ちょうどヘレナちゃんにとっても、渡りに船だったみたいだよ。
明日にも、フル装備の先遣隊が15人くるみたいだよ」
よし…と、かおり様は呟きました。
次は、弾と食料の確保と、更なる人員の増加を目指しつつ、訓練をより洗練されたものにし、火器の充実を図らなくてはいけません。
「なおみちゃん、悪いけど…」
かおり様は、なおみ様に新たなる指示を出します。
「明日、もう一度スェーチェに行ってくれないかしら?
必要な資金はこちらが出すから、弾と食料の補給について話をつけてきて欲しいわ」
実のところ、黒色の薔薇戦線の資金は、このとき村民たちの協力もあり460万クローネとなっていました。
それで、いよいよ本格的に訓練が行えるようにするために、多少値が張ったとしても、弾と食料を揃える必要があったのです。
「ふぇ~…
分かったよ、かおりちゃん!
なおみ、勤めを果たしてくるね!」
一瞬だけ、げんなりとしましたが、すぐにいつもの元気いっぱいの表情となって返事をしました。
「ありがとうね、なおみちゃん。
あと、月に一度、互いに情報交換をするという約束もつけておいて欲しいわ」
なおみ様は「任せて!」と元気な返事をすると、大あくびを一つあげて、そのままベットの上でスヤスヤと眠ってしまいました。
かおり様は椅子からゆっくり立ち上がり、なおみ様の体に毛布をかけると頬にキスをし、優しく髪を撫でています。
「おやすみなさい、なおみちゃん…」
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