シャールカちゃんは駆け足で、かおり様の下へと向かいました。
「シャールカ二等兵、ただいま到着しました!」
急製造されて届いたばかりの「M-10式戦闘服」と呼ばれるダークグリーン色の軍服を着こなしたシャールカちゃんが、かおり様に敬礼をします。
この敬礼は当時は珍しいもので、右腕を横へ、肘から先は上へと伸ばし、右手で握りこぶしを作るものです。
次は、この可愛らしくも凛々しく美しいシャールカちゃんの服に視点を移してみましょう。
長袖のダークグリーン色の上着には、二つのポケットがついてあり、ヘルメットとスカートも同じ色をしています。
スカートは機動性を重視してか、とても短いものとなっています。
腰には茶色いベルトがされてあり、同じく茶色の弾嚢がベルトで左右に固定されていました。
靴はブーツで、膝のすぐ下まである黒のブーツです。
編み上げブーツではありませんが、シャールカちゃんの可愛らしさをこっそりと更に輝かせています。
「シャールカちゃん、今日スェーチェから到着したマリアちゃんよ。
まだ到着したばかりで、この村のことも何も知らないから、いろいろと教えてあげなさいよ」
シャールカちゃんは「了解しました!」と答え、マリアちゃんについてくるように指示を出し、スェーチェからの
部隊を収容する、テントへと案内しました。
このときには、数百人を収容するための兵舎を急ピッチで建造体制に入っていたのですが、完成するまでには約半年の
時間が必要とされていたので、マリアちゃんたちは、暫くの間テント暮らしを我慢するしかありませんでした。
先遣隊を引き連れて、堂々と進むシャールカ様の姿を見て、かおり様はとても頼もしい気持ちになりました。
「あたしも、頑張らなきゃね」
かおり様はぽつりと呟くと、足元でなついているクズ犬の頭を撫でながら、事務作業へと戻るのでした。
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