そこは、図書館と会議室を兼ねたような造りの部屋となっていて、中央に木製の長机が置かれており
ドアから入って、ちょうど真正面の位置から顔が見えるところに、村長は座っていました。
「貴女が村長かしら?」
村長は、性別が女性という点を除いては、まるで典型的な村長らしさをもった容姿をしていて、とても
じゃないですが、歩いて出迎えをしたり、いくら大声で青年が入室を伝えようとしても、ドア越しでは
聞こえなかったことでしょう。
村長は、かおり様が入室をなされると、とても嬉しそうにしゃがれた声で
「おかえりなさいませ、かおりお嬢様」
と言いました。
村長はプルプルと体を震わせながら、なんとかして立とうとします。
ただでさえ、出迎えに行けなかったというのに、このまま座っているというのは
不敬に値すると考えたからです。
「座ったままでいいわ。
あたし、貴女には山ほど聞きたいことがあるの」
かおり様は、カツカツと足音を立てながら、村長の前に位置する椅子を引き、腰を下ろしました。
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