「あたし達は、みおり様の…人民の軍隊よ!
何が楽しくて、帝国軍の兵士にならないといけないのよ」
かおり様は、こう結論づけました。
ただ、政府から目をつけられたとき、どうすればいいかという問題は解決していません。
「見つかったら、見つかったで…
そのときは、そのときよ」
かおり様は、こう考えました。
見つかるくらいに大きな勢力となったのなら、やってやろうじゃないかと。
義を捨て、仲間を裏切るくらいなら、いっそ…と。
ただし、いくつかの防止策を施すことは忘れませんでした。
「でも、やれることは、やっておかなきゃね」
それは、政府の人間を感じたとき、すかさず買収、あるいは抹殺を行うことです。
それだけではありません。
防諜員を育成し、偽の情報を流したり、相手の弱みを探るよう、力を備えることを考えました。
「あたし達がその気になれば、どうなるか…
見せつけなきゃ」
このことを、今月の会議でヘレナちゃんに伝えようと、かおり様は決めました。
今月の会議では、他にも議題がありました。
それは、黒色の薔薇戦線が新聞を発刊し、末端の構成員にまで中央の意思を伝えるだけでなく、新たな構成員の確保と、資金の獲得を狙ったものでした。
この新聞の名は、かおり様によって『女王通信』と名付けられました。
この女王通信の数ある目標のうちの一つとして、活動資金の獲得も定められて
はいますが、お金のない構成員からは徴収しようとは考えていませんでした。
かおり様は、とても人民に優しいお嬢様なのです。
「今月の会議も、とても重要なものになりそうね」
そう呟くと、かおり様は事務作業を再開するのでした。
第一章の目次に戻る