なおみ様は異変に気づき、素早くルガーP08をホルスターから抜き出して照準を定めます。
「えっ…!?」
一瞬の困惑。
照準の先には、報告書にあった少女と一致する特徴を持つ子がいたのです。
少女はM1900と呼ばれるベルギー製の自動拳銃を、れおな様に突きつけたままニヤリとします。
「あなた達…マヌケね」
銃口を少しずつ上にずらしていき、れおな様の喉元でピタリと止めました。
れおな様の顔から、普段の優しさが消えていました。
れおな様は冷たい声で少女に聞きます。
「…何が目的なのかな?」
少女はクスリと笑いそして、こう返します。
「ちょっと、からかって……」
しかし、その返事は最後まで行われることはありませんでした。
なおみ様が、言葉を遮ったからです。
「君はもうオシマイだよ」
少女は、その意味を理解するまでに数秒ほどかかりました。
ヘレナ様が背後からの強襲を仕掛け、少女の身体の自由を奪うと、ナイフをその喉元へと押し付けたからです。
少女は硬直し、声も上げられなくなっていました。
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